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  • スポーツファンはなぜ熱狂するか?内集団協力の説明原理スポーツファンは熱狂的スポーツファンの中には熱狂的にチームを応援する人もいます。しかし、ファンでないあなたはこう思うかもしれません。なんであんなに熱狂的に応援するんだろう?チームが勝っても何ももらえないよ。答えを考えるために、ある集団実験1)を紹介しますまず、参加者に好きな色を選んでもらい、同じ色を選んだ人たちのグループに入ってもらいます。青と緑ではどちらが好きですか。僕は青のほうが好きだな参加者色の好みで分けられたグループ参加者は青色が好きな人として、どちらのグループに協力したいかを決めます。あなたは、青が好きでしたね。どちらのグループへ協力しますか?自分のグループへ協力的になったよそのグループ (外集団) よりも、自分のグループ (内集団) のほうへ協力的になりました。好みの色が同じというだけで、仲間だと思えてしまうようです。仲間には協力したいな。青=内集団協力しなくてもいいかな。緑=外集団実験で分けられたグループでも、自分のグループへ協力なんであんなに熱狂的に応援するんだろう?チームが勝っても何ももらえないよ。人はあるグループに分けられると、自分のグループを応援したくなるんだよ。そもそもグループに分けられると、なんで応援したくなるの?それには一体感を生み出す心とギブ&テイクの心が関係しているんだ!応援するには、理由があります (その1)色の好みや顔立ち、性格など何らかの共通点のある人たちには、そうでない人たちに比べて自分を重ねやすくなります。その共通点のある人には、一体感を生み出す心 (社会的アイデンティティ2)) が備わっています。まず、同じチームを応援するファン同士の一体感が高まります。みんなでチームを熱狂的に応援したり、チームが勝つことが自分の喜びになります。好みや特徴が自分と似ていると、自分と同じタイプの仲間だと思ってしまうよなぁ・・・チームが勝つと僕も勝者になった気分だ。グループとの一体感を調査した実験青組と緑組の人に仕事をしてもらいました。そこで、ご褒美をあげてください。どのように分けるかはあなたが自由に決めてください。僕は青が好きなんだ。だから、同じ青が好きな人たちの力になってあげたい。青組=内集団緑組=外集団応援するには、理由があります (その2)。同じグループの人々の間では、ギブ&テイクの心  (互恵性の期待3)) が働きます。チームを応援すれば、同じチームを応援する他のファンから親切にしてもらえるかも? と期待して応援します。チームを応援すれば何かいいことがあるかも。ギブ&テイクを調査した実験自分Xの報酬を決めるのが内集団の人 (B) であるとき、外集団のCさんよりも内集団のAさんによりたくさん分配しました。Bさんは自分XやAさんの仲間だからもらいっぱなしにはしないだろう!Cさんはもらいっぱなしだろうな・・・Xさん内集団のAさん内集団のBさんギブ&テイク外集団のCさん自分Xの報酬を決めるのが、内集団の人ではないときは、内集団と外集団への分配に差をつけません。僕の報酬は実験者が決めるから、内集団のAさんと外集団のCさんを特に区別する必要がない。実験者一体感とギブ&テイクの心はどちらも重要!!一体感を生み出す心とギブ&テイクの心は、グループを応援する重要な理由なんですね!そうですね。一体感を生み出す心とギブ&テイクの心がどのような時に働きやすいのか、今も研究が続けられています。まとめ「自分のグループに協力的になること (内集団協力)」は、一体感を生み出す心とギブ&テイクの心から説明することができます。一体感自分がグループの一部であると感じ、グループの仲間の幸せは自分の幸せなので協力するギブ&テイク自分もグループの仲間から親切にしてもらえると期待するから協力する内集団協力のメリットとデメリットグループの仲間に協力することには、メリットがある反面、デメリットもあります。メリット: 内集団みんなで協力し合うことができるデメリット: 外集団への差別や偏見につながる重要なのは、メリットとデメリットのバランスを考えて、一体感を生み出す心とギブ&テイクの心を上手くコントロールすることです。引用文献Tajfel, H., Billig, M. G., Bundy, R. P., & Flament, C. (1971)   Social categorization in intergroup behavior. European Journal of Social Psychology, 1, 149-178.2) Tajfel, H., & Turner, J. C. (1979). An integrative theory of intergroup conflict. In W.G. Austin & S. Worchel (Eds.), The social psychology of intergroup relations (pp. 33-47). Monterey, CA: Brooks/Cole.3) Yamagishi, T., & Kiyonari, T. (2000). The group as the container of generalized reciprocity. Social Psychology Quarterly, 63, 116-132.4) 神 信人・山岸俊男・清成透子 (1996). 双方向依存性と“最小条件集団パラダイム” 心理学研究, 67, 77-85.お薦め図書北村英哉・内田由紀子 (編) (2016). 社会心理学概論. 集団間関係 (pp.209-231) ナカニシヤ出版.編集本の第12章「集団間関係」では、一体感を生み出す心 (社会的アイデンティティ) とギブ&テイク (互恵性の期待) の心について詳細な説明がなされています。本間道子 (2011). 集団行動の心理学. サイエンス社.集団行動を説明する理論や研究について幅広く説明されています。集団が持つ特徴や集団の環境まであらゆる面から集団行動が考察されています。製作者中川  裕美(広島修道大学大学院 人文科学研究科)
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    • 探し物を見つける(視覚探索)
    • メタ分析(1)(基礎と歴史)(複数の研究結果から新たな知見を得る統計的手法 山田・井上(2012)より)
    • やばい!バレたかも!?:懸念的被透視感
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資料名:20180702_sportsfan.pdf(1.6MB)

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