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  • 捜査における面接法目撃者や被害児童への面接とその訓練捜査における面接とは皆さんは面接と聞くと、どのようなものを思い浮かべますか?入学試験や就職活動、カウンセリングなどをイメージする人が多いかもしれません。事件や事故が発生すると、警察は目撃者や被害者など、様々な関係者から話を聴く必要があります。こうした捜査の中で正確な証言を得るために行われる面接では、どのような工夫がなされているのでしょうか?正確な証言を得るためにこれまでの研究から、①面接を受ける人が話しやすい関係を作ること②面接者が適切な質問方法を用いることの二つが大切だということがわかっています。話しやすい関係づくり面接者が優しい口調で話したり、面接を受ける人のことを名前で呼ぶなどして友好的に接すると、①面接時間が長くなる②面接者への印象が良くなる③面接を通じて正確な情報が多く得られることが示されています。質問方法面 犯人の服は、目 黒いTシャツだったかな。面 白いTシャツでしたよね?目 (あれ、黒だった気がするけど…)はい。一方、面接者の質問次第で、以下の例のように目撃者の記憶が書き換わってしまうかもしれません。質問の種類3)オープン質問種類クローズド質問面接者から情報を出すことなく、面接を受ける人の自発的報告を促す質問内容面接者が選択肢を示したり、「はい」か「いいえ」での回答を求める質問・「どんなことがあったか話してください。」・「車について、思い出せることを全部教えてください。」例・「自転車は黒色でしたか?銀色でしたか?」・「犯人は50歳くらいの男じゃありませんでしたか?」得られる情報量情報の正確性多少高低質問方法犯人の服装について、覚えていることを全て教えてください。黒いTシャツでした。ほかには?•目撃者の記憶に基づく証言を引き出すためには、オープン質問の使用が適しています。面目面下はジーンズでした。目被害児童への面接•児童虐待の被害児童に面接する際は、質問方法をはじめ、特に配慮が必要です。→児童は記憶力や集中力が未発達であり、誘導されやすいという特徴があるからです4)。→児童虐待は自宅などの閉鎖的な空間で行われることが多く、被害児童以外からの目撃証言を得られないことが少なくないため、被害児童の供述はとても重要です4)。代表者による聴取•児童虐待事案には、検察や児童相談所、警察など様々な機関が関わります。それぞれの機関が別々に何度も聴取を行うと、①児童にとって心身の負担となるおそれ②児童の記憶が書き換わってしまう可能性があります5)。→多機関が協同で面接を行う代表者による聴取が増加しています。代表者による聴取3)•代表者1名が児童と1対1で面接をします。その様子をバックスタッフが別室で観察します。例:面接者が検察官の場合、児童相談所職員や警察官はバックスタッフとして面接に関わります。•面接は録音録画します。代表者による聴取•バックスタッフは面接者とともに面接計画を立てます。面接中は内容をメモし、ブレイク(休憩)中に面接者に確認して欲しい情報を伝えるなどします。•面接者・バックスタッフともに、被害児童への面接に関する知識や技術が求められます。→専門的な知識や技術を身につけるためには、訓練が必要です。面接訓練•面接技術の向上には、集中的な訓練と継続的な指導が有効であることが指摘されています6)。•集中的な訓練は日本国内でも実施されており、訓練によって面接者の質問技術が向上することが明らかになっています7)。•訓練にかかるコストを低減するべく、コンピュータを用いたアバタートレーニングが開発されています8)。•コンピュータ上に現れる虐待被害が疑われる子ども(アバター)に面接を行います。•面接後に適切なフィードバックを受け取ることで、質問技術の向上につながることが確認されており、その技術を維持することを目的とした活用も期待されています。•オンラインアプリのため、遠隔地でも実施することができます10)。アバタートレーニングまとめ•目撃者から記憶に基づく証言を引き出すためには、話しやすい関係づくりと適切な質問方法が重要です。•被害児童に対しては、多機関が連携して代表者による聴取を行うことが増えています。•面接訓練にかかるコストを減らすために、アバタートレーニングも開発されています。引用文献1.山本渉太(2017).捜査面接における面接者のラポール構築方略と発問タイプが被面接者から得られる情報に与える効果北海道大学大学院文学研究科博士論文(未公刊)2.Collins, R., Lincoln, R., & Frank, M. G. (2002). The effect of rapport in forensic interviewing. Phichiatry, Psychology and Law, 9, 69-78.3.仲真紀子(2016).子どもへの司法面接――考え方・進め方とトレーニング――有斐閣4.高橋孝一(2016).児童虐待事案における捜査上の留意事項警察学論集,69,48-86.5.警察庁(2015).児童を被害者等とする事案への対応における検察及び児童相談所との更なる連携強化について6.Lamb, M. E., Sternberg, K. J., Orbach, Y., Hershkowitz, I., Horowitz, D., & Esplin, P. W. (2002). The effects of intensive training and ongoing supervision on the quality of investigative interviews with alleged sex abuse victims. Applied Developmental Science, 6, 114-125.7.仲真紀子(2011).NICHDガイドラインにもとづく司法面接研修の効果子どもの虐待とネグレクト,13,316-325.8.Pompedda, F., Zappalà, A., & Santtila, P. (2015). Simulations of child sexual abuse interviews using avatars paired with feedback improves interview quality. Psychology, Crime & Law, 21, 28-52.9.萩野谷俊平(2019).アバタートレーニングを用いた訓練の効果の現状と今後の課題日本心理学会第83回大会公募シンポジウム「児童虐待に立ち向かう」10.Haginoya, S., Yamamoto, S., Pompedda, F., Naka, M., Antfolk, J., & Santtila, P. (2020). Online simulation training of child sexual abuse interviews with feedback improves interview quality in Japanese university students. Frontiers in Psychology, 11: 998.お薦め図書1.Fisher, R. P., & Geiselman, R. E. (1992). Memory-enhancing techniques for investigative interviewing: The cognitive interview. Springfield: Charles C. Thomas Publisher. (フィッシャー,R. P.・ガイゼルマン,R. E. 宮田洋(監訳) (2012).認知面接――目撃者の記憶想起を促す心理学的テクニック――関西学院大学出版会)目撃者の記憶想起を促す面接方法について説明されています。2.仲真紀子(2016).子どもへの司法面接――考え方・進め方とトレーニング――有斐閣被害児童からの聴取の研究や現状が紹介されています。
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参考スライド:捜査心理学とは

資料名:20200826_interview.pdf(982.4KB)

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