心理学ミュージアム

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  • はじめに失恋など、あまり思い出したくない思い出はありませんか?多くの人には思い出したくない記憶多くの人に、思い出したくない出来事があるのではないでしょうか?どうやったら忘れられるのでしょう?思い出したくない出来事を思い出さないこと、すなわち、忘れることはできるのでしょうか?心理学では、忘れることを「忘却(ぼうきゃく)」と呼び、忘却に関する様々な研究が行われてきました忘却は悪いこと?「忘れる」と言えば、日常生活では、「友達との約束を忘れる」、「宿題を忘れる」など、大抵は悪いことだとされています実は、「忘れる」ことにも良い面があります忘れることの良い面携帯電話を買い換えて、電話番号が変わった時を想像してみて下さい電話番号を聞かれた時、前の電話番号をつい思い出してしまい、新しい電話番号が思い出せないという場面はいかにも起こりそうですねこの時、古い電話番号を忘れることができれば、新しい電話番号を正しく思い出せますね忘れることには不要になった情報を忘れるという良い面があると考えられていますどうすれば忘れられるのでしょう?「不要な情報=嫌な出来事」という風に置き換えてみると、嫌な出来事も忘れることができそうな気がしますでは、どうすれば思い出したくない出来事を忘れるのでしょうか?その方法はシンプルです思い出したくないことを忘れる方法、それは思い出したくない出来事を思い出させる手がかりに出会った際にその出来事を思い出すことを止める!思い出すことを止める「えっ!?そんな簡単にはいかないよ!」と思われるかもしれませんもう少し詳しくご説明しましょう例えば、別れた恋人からもらったマグカップを見ると失恋を思い出してしまう状況を想像してみてくださいこの時、マグカップは忘れたい出来事を思い出させる手がかりになりますこのマグカップを見た時に失恋を思い出さないようにすることがポイントです失恋に関する出来事を頭の中から追い出すように、マグカップから失恋に関する出来事を思い出さないようにしてみましょう!デモでは、実際にみなさんも体験してみましょう準備ができたら、次に進んでください単語とイラストのペアを覚えて下さい試練季節移動続いて、先ほどの単語だけがでてきます赤色の単語がでてきたら、ペアとなっていたイラストを思い出さないようにしてください緑色の単語がでてきたら、ペアとなっていたイラストを思い出してください思い出してみてください下の単語はどのようなイラストとペアになっていましたか?イラストにでてきた生きものや物の色は何色でしたか?登場人物の服装はどうでしょうか?回答繰り返すことが大事!いかがでしょうか?思い出さないようにしたイラスト(失恋した男性)は思い出しにくくなっていましたか?そうだという方はうまく忘れることができていますはじめは思い出すことを止めるのは難しいという方も多いかもしれません何回も繰り返して思い出さないようにしてみてくださ徐々に思い出しにくくなっていくはずです実際の研究でも思い出すことを繰り返し止めることで、徐々に忘れていくことがわかっています2赤色の折れ線は思い出さないようにした場合に、思い出さないようにしたことを覚えていた割合です思い出さないようにする回数(繰り返し回数)を増やすと、より思い出しにくくなっていきますまとめ忘れることには「不要な情報を忘れる」という良い面がある思い出したくない出来事の手がかりに出合った時に思い出すことを止めると忘れやすい何回も繰り返し挑戦してみることが大事手がかりに出合った時にだけ思い出さないようにしましょう長い間、ずっと忘れようとしていると、かえって逆効果だと言われています(思考抑制も参考にしてください)引用文献Bjork, R. A. (1989). Retrieval inhibition as an adaptive mechanism in human memory. In H. L. Roediger III & F. I. M. Craik (Eds.), Varieties of memory and consciousness: Essays in honor of Endel Tulving (pp. 309-330). Hillsdale, NJ: Lawrence Erlbaum Associates. Anderson, M. C., & Green, C. (2001). Suppressing unwanted memories by executive control. Nature, 410, 366–369. doi:10.1038/35066572お薦め図書清水寛之(編)(2009) メタ記憶ー記憶のモニタリングとコントロール 北大路書房記憶をどのようにコントロールするかを調べた研究が色々と紹介されており,今回ご紹介した内容も含まれた専門書ですピーター・ブラウン,ヘンリー・ ローディガー,H.・マクダニエル, M. (2016). 使える脳の鍛え方 成功する学習の科学 依田卓巳(訳)NTT出版忘れることの逆,覚えることに関する最新の記憶研究の成果を紹介した一般向けの書物です
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  • オススメ展示

    • メタ分析(1)(基礎と歴史)(複数の研究結果から新たな知見を得る統計的手法 山田・井上(2012)より)
    • 「その人らしさ」の理解の発達
    • 他者について自分勝手に考える(自己中心性バイアス)
    • 同調(集団の圧力)
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資料名:20220225_forgetmemory.pdf(996KB)

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