• 同調 集団の圧力
  • 他者から影響される 私たちは、他の人からいろいろな影響を受けやすい存在です.たとえば、ご飯の食べ方や書く文字が親とそっくり!親子間では、よくありそうな話ですね.しかし、私たちは知らない人(人々)からでさえ、影響を受けることがあります。
  • ビルを見上げる実験 街角を歩いていると、何人かの人が立ち止まって、ビルの一角を見上げていたとします.あなたも、何が起きているのだろう、と同じところを見上げるでしょう. これは実際、ニューヨークでの実験で確認されたものです.「つい、つられてしまった」と言い訳したくなるような行動ですね.
  • ビルを見上げる実験 最初に立ち止まって見上げている人数が多いほど、後から来た人が同じ行動を示す割合が高くなりました.人数の多さが、影響されやすさに関係するわけです。
  • 自分の考えや行動に確信があるときは、どうでしょうか?たとえば、あなたの所属する組織全体で不正がおこなわれ、みんなそれを隠し通そうと考えているとき、あなたはどうしますか他の人がある1つの意見や態度を支持しているとき、とくに複数の人がみな同じ方向を向いて集団の圧力が強いとき、1人だけそれに抵抗するのは、そう簡単なことではありません.
  • 同調とは 他者や集団からの圧力によって、人の行動や意見が変化することを、社会心理学では「同調」と呼びます.同調はどのようなときに起きやすくなるでしょう? この問題に取り組んだのは、アッシュという心理学者でした.※アッシュ(Solomon Asch  1907-1996 スワァースモア・カレッジ教授)
  • 同調実験  Q:左の赤棒と同じ長さのものは、右の3本の棒のうちのどれでしょう?
  • アッシュは、このような問題で「同調」を調べようとしました. 実際、アッシュの実験では、回答者が1人でこの問題に回答したとき、ほぼ100%正解でした.先の問題の正解は[A]です. 簡単ですね。
  • 異なる意見の影響 本当の回答者以外にその場にもう1人いて、その人(実験協力者:サクラ)が間違った回答をすると、どうなるでしょう?もちろん、本当の回答者は、その人がサクラだとは知りません。本当の回答者の正解率は約80%と、少し低下します。つまり、サクラの「間違った」答えに影響され、一目瞭然の簡単な問題でも、自分の目が見ていることに疑いをもつ人が出てくるわけです。
  • 人数の影響 本当の回答者は、先に何人かの実験協力者が同じ答えを述べた後に回答することにしてみました。するとサクラの人数が増えていくにつれて、本当の回答者の誤答率は上昇しました。
  • 同調実験の重要ポイント 他の人たちが全員同じ回答(行動)をすること. ○多数のサクラが全員一致して同じ〔誤〕答をしたとき本当の回答者の約3分の1が、同調行動をとりました.つまり、サクラと同じ〔誤〕答を答えました.○一枚岩が崩れたとき-多数のサクラの中で、1名だけ正答を答えたとき本当の回答者の間で、5.5%の同調行動が見られました.つまり、同調行動がかなり低下しました回答者は自分の見え方を信じて回答する傾向が高まったことになります.-多数のサクラがある誤答し、1名だけは別の誤答をしたとき 本当の回答者の多数派への同調は、上の場合と同じく、低いままでした.-多数のサクラの中の1名が最初正解[A]と回答したのに、後でそれを撤回し、多数派の〔誤〕答へ同調したとき 本当の回答者の多数派への同調は、再び増加しました.
  • ・つまり、正答を答える人が他にいるかどうかではなく、全員が一致しているかそうでないかが同調行動の起こりやすさに大きな影響を与える、 ということになります.・1人でも多数派にさからう人が他にいれば、仮に自分とその人の意見が合わなくても、多数派の意見に異を唱え、自分の意見を表明できる傾向が強くなるわけです.
  • 同調が起きやすいとき 人数が多いほど同調は起きやすい
ただし、5~6名以上はそれほど大きな変化が生じなくなります・全員が同じことを言う・する 1人でも例外があると、同調は比較的起きにくくなります・教育水準、文化、年齢など何かの点で似た人々によって集団が構成されている場合・集団の中での地位 地位が低い人は、地位が上の人に同調しやすい傾向があります・個人差や文化差がある 自分の考えに自信がない個人や「みんな一緒に」という文化では、同調が起きやすいといわれています
  • 同調が起きるわけ-同調の2つの側面 情報的影響・・・ 自分の判断や意見の正しさを確認できないとき、他者の判断や行動を参考にして知ろうとすることから受ける影響 新型インフルエンザを例にとると「クシャミや咳によって菌が飛散するのを、マスクで防ぐことができる?」 → 「みんなマスクをしているのだから、できるのだろう」 → 「自分もマスクをしよう」規範的影響・・・他者と違うことをすると嫌われるかもしれない、1人だけヘンだと思われるのは避けたい、など周囲から受け入れられる人間になりたいという欲求から、集団の中で適切だとされる行動や意見にあわせようとする影響「みんなマスクをしている」 → 「インフルエンザの流行・拡大防止にみんなが協力しているのに、自分だけマスクをしないと周囲から嫌われる」→ 「自分もマスクをしよう」
  • ただし、情報的影響と規範的影響の両方が同調行動のすべてに認められる、というわけではありません。どちらか一方だけという場合、また片方が他方に比べてより強いという場合もあります。たとえば、「行列のできるラーメン店」に並ぶのは、「この店は行列を作ってまで食べたいほどラーメンが美味しい店だ」という情報的影響が主として効いている例でしょう。「この店で食べないと、嫌われるかもしれない」と規範的影響は、1人で並んでいるときは、店関係者以外ではちょっと考えにくいですね。
  • いろいろな同調 同調は、仲間からの受容-拒絶に敏感になりがちな若者で特に顕著に見られますが、どの時代どの年齢でもおきます.流行のファッション(ルーズソックス, 茶髪, 目力アイメークなど)を装うのも、同調の1つと言えます.
  • 写真撮影時の「ピース」など、ジェスチャーにおいても同調を観察することができます。 どうするのが今は「格好いい」「かわいい」ことかについての情報的影響と、同じようにしないのは世間的ハズれている人であり世間的に鈍い人だと思われたくないという規範的影響が、そこには認められます.
  • 空気を読む 「空気を読め」というのは、その場にいる人々が共通してもっている暗黙のルールや価値観に敏感であれ、という集団の圧力の1つのかたちかもしれません.「同調」は、社会の中にたくさんあります.身の回りで同調をさがしてみましょう。
  • 主要参考文献 Asch, S. E. (1951). Effects of group pressure upon the modification and distortion of judgment. In H. Guetzkow (ed.) Groups, leadership and men. Pittsburgh, PA: Carnegie Press./Bond, R., & Smith, P. (1996). Culture and conformity: A meta-analysis of studies using Asch's (1952b, 1956) line judgment task. Psychological Bulletin, 119, 111-137.
  • お薦め図書 複雑さに挑む 社会心理学 適応エージェントとしての人間  亀田達也・村田光二 有斐閣アルマ p.32-58./ニューリベラルアーツ 社会心理学 池田賢一・唐沢穣・工藤恵理子・村本由紀子 有斐閣 p.193-197.
  • 製作者遠藤由美(関西大学)