• 人に対する思い込み〜ステレオタイプの光と影〜
  • まずは以下の問題を解いてみましょう ドクター・スミスは、アメリカのコロラド州立病院に勤務する外科医である.冷静沈着,大胆かつ慎重な名医で,市長からの信任も厚い.スミスが夜勤をしているある日,交通事故に遭った親子が病院へ運ばれてくる.父親は即死,息子は重症だという.運ばれてきた重症の青年をみて,スミスは驚いた.彼はスミスの子どもだったのである.さて,スミスと事故に遭った親子の関係とは どういったものだろうか.
  • 正解は
  • 「ドクター・スミスは女医であり、交通事故にあった父親の妻である」
  • わからなかった人は,ドクタースミスは,「外科医」で「冷静沈着,大胆」と聞いて,男性と思い込んでしまったのではないでしょうか.
  • 人に対する思い込み~ステレオタイプ~ ドクタースミス問題からわかるように,われわれは,さまざまな種類の人に対して思い込みを抱きがちです.
外科医は,冷静沈着で,男性のイメージ 関西人といえば,タイガースファン,漫才好きで面白い. A型の人は真面目なイメージ.
  • こうした思い込みを,ステレオタイプと言います.ステレオタイプは悪いものと思われがちですが,みなさんの日常生活のいろんな場面でよく利用されています.
  • ステレオタイプは知識!ステレオタイプがあると,わからないことがあったとき,イメージを膨らませることができます.
  • 転校生は都会から来た!
  • おしゃれでクールだろうなあ 勉強できそうだなあ 自分勝手そうだなあ
  • ステレオタイプは,われわれの認識や思考をしやすくする役割を持っています.
  • ステレオタイプは面白い!様々な民族の人が乗った豪華客船が沈没しそうになる.それぞれの乗客を海に飛び込ませるには、どのように声をかければいいか?
  • イタリア人には、「海で美女が泳いでます」と伝える。イギリス人には、「こういうときにこそ紳士は海に飛び込むものです」と伝える。アメリカ人には、「今飛び込めば貴方はヒーローになれるでしょう」と伝える。日本人には、「みなさん飛び込んでますよ」と伝える。 こうしたジョークもステレオタイプがあるから面白く感じますね.
  • でも,ステレオタイプは正しい?ただし,ステレオタイプから連想されたイメージは,正しい可能性もありますが,誤っている可能性もあります.
  • 先ほど例にだした,都会人にもステレオタイプに当てはまらない人はたくさんいます.おしゃれでクール 勉強できそう 自分勝手そう
  • ステレオタイプは便利ですが,ステレオタイプに基づいて考えてばかりいると間違いを犯してしまいます.
  • ステレオタイプは差別につながることも・・・ステレオタイプが誤っていても,実際にはなかなか気づきにくいものです.そのため,ステレオタイプであると気づかずに使った結果,差別になってしまうこともあります.
  • 外国人から,「あなた日本人だね.日本人ってみんなと同じじゃないと嫌なんでしょ.じゃああなたの友だちって,みんなあなたみたいな髪型で服もメガネもお揃いなんだろうね?」なんて言われたら嫌な気分になりますよね。
  • ステレオタイプの影響力 ステレオタイプは,われわれの頭の中にかなり根深く存在しています.ドクタースミス問題を思い出してみましょう.-思い込みに流されてしまって,うっかり間違えてしまいそうでしたよね.
  • ステレオタイプの影響力は意外なほど強力です.あなたの考えは,気づかないうちに,ステレオタイプに影響を受けてしまうこともあります.
  • ステレオタイプとうまくつき合うため,次のことに注意しましょう 1.自分の考えに批判的になること -あなたの考えは意外なほどステレオタイプに染まっています.自分の考えを過信せず,何事も決めつけをしないようにしましょう. 2.使うときは,時と場合を選ぶこと-ステレオタイプはコミュニケーションを豊かにすることもありますが,冗談では済まなくなる場合があります.人にステレオタイプを適用するときには十分に注意しましょう.
  • 参考文献 上瀬 由美子 (2002)ステレオタイプの社会心理学―偏見の解消に向けて (セレクション社会心理学),サイエンス社. 早坂隆 (2006)世界の日本人ジョーク集,中央公論新社. 山本眞理子・外山みどり・池上知子・遠藤由美・北村英哉・宮本聡介 (2001) 社会的認知ハンドブック,北大路書房.
  • お薦め図書 岡隆・佐藤達哉・池上知子 (1999) 偏見とステレオタイプの心理学 (現代のエスプリ),至文堂. マクガーティ・イゼルビット・スピアーズ(著) 国広陽子(監修) 有馬明恵・山下玲子(監訳) (2007)ステレオタイプとは何かー「固定観念」から「世界を理解する”説明力”」へー,明石書店 .
  • 製作者 石井国雄(明治学院大学)