• みんなですると手をぬく(社会的手ぬき)
  • ベストをつく・・・さない.ふだんはまじめなのに、掃除当番になるとさぼる人がいますよね.ほら、そこのあなたも手がとまっていますよ.たくさんの人でおこなう共同作業では、一人一人は必ずしも全力をつくさないことがあります.
  • みんなで拍手.1人のとき、精一杯の力で拍手する時の音の大きさを10としましょう.5人いれば、10×5=5010人いれば、10×10=100計算上はこのような大きさになります.
  • 現実はそうならない・・・.たくさんの人がいると、だれかれといつの間にか少しずつ手をぬき、1人の時の全力を出さない傾向があります.本来10の力を出せる個人が8くらいにおさえたりするわけです.
  • このような現象を社会的手ぬきとよびます.社会的手ぬき
=1人で作業するより、共同作業のときの方が1人あたりの作業量が低下すること人数が多いほど、社会的手ぬきはおこなわれるやすくなります.※人数が多ければ、1人あたりの作業量は低下しますが、全体の作業量は増大します。
  • なぜ手をぬく?なかなか難しい問題です.ひとつには、各個人の責任・貢献度がわかりにくいからだと考えられます.社会的手ぬきをふせぐには1人ずつの作業量を示すなどによって、各自のがんばり度をわかるようにする(次の実験を参照).
  • 人数が増えると 手をぬく.自分の音量を測定されている1人の時は全力を出していても、他の人と一緒になって自分の音量が測定されなくなったと思ったとたん、力を抜くことが読み取れます
  • 評価されているときは手をぬかない.常に個人評価 (青の線)あなた個人の声の大きさは測定していますよと言われると、人数が増えても全力をだす傾向があります.常に個人評価なし(緑の線)あなた個人の声の大きさは測定していませんよと言われると、全力をださない傾向があります
  • まとめ.元来の怠け者がさぼるということではなく、大勢の一員として何かをするとき、そして自分の責任や作業量などがわかりにくいとき、人は一般に全力を出し切らない傾向があります.どのようなことで?拍手や大声をだすなどの身体的作業を題材に実験がおこなわれることが多いです.しかし、文学作品の評価などでも、大勢ですると1人の時に比べて自分はあまりがんばらなかったという評価者自身の自己反省が生じるという報告があります.
  • 引用文献.Latane, B., Williams, K.,  Harkins, S. (1979). Many hands make light the work: The cases and consequences of social loafing. Journal of Personality and Social Psychology, 37, 822-832.Williams, K., Harkins, S., & Latane, B. (1981).Identifiability as a deterrent to social loafing: Two cheering experiments. Journal of Personality and Social Psychology, 40, 303-311.Zajonc, R. (1965). Social Facilitation: A solution is suggested for an old unresolved social psychological problem.  Science, 149, 269-274.
  • お薦め図書.社会心理学ショート・ショート 岡本浩一著 新曜社
  • 制作者 遠藤由美(関西大学)