• 立ち聞きした会話はなぜわかりにくい?共通基盤
  • ふとした瞬間、他人の会話が聞こえてくることがあります。しかし、そっと耳をすましてその会話をしばらく聞いてみても、完璧に理解するのは難しいですね。なぜでしょう? 実験で明らかにしてみましょう。
  • [こんな状態にして実験します]3人に協力してもらいます。1つの部屋をアコーディオンカーテンで3つに区切り、それぞれ分かれてもらいます。お互いの姿は見えませんが、声は聞こえます。指示する人と指示される人は話せますが、傍聴する人だけは話せません。
  • [それぞれの机の上]部屋が区切られているため、お互いがどんな状況であるかわからない
  • [使う図形(タングラム図形)]タングラム図形といって三角や四角の形を組合わされた図形を使います。今回の実験では人の形に見えるようになっています。
  • [指示する人の役割]指示する人は指示される人が、図形を見つけられるように図形の説明をします。
  • [指示される人の役割]指示される人は会話をしながら指示する人が言う図形がどれかを当てます。12個の図形を順番に並べます。
  • [傍聴する人の役割]2人の会話を聞いて、指示される人と同じことをします。
  • [実験の流れ]指示される人が、指示する人の言う順番通りに12個の図形を並べたら1セット終了。※4つの図形は余る。これを6セットしてもらう。毎回同じ図形を使うが、順番はランダムに変わる。
  • [結果]正確さ 指示される人は傍聴する人よりも正確に並べることができた。★指示される人の方が指示する人の言ったことを正しく理解している。 1セットが終了するまでに図形を置き直した回数 傍聴する人は指示された人に比べて、図形をたくさん置きなおした。★傍聴する人は1回で理解できていない。
  • [違いは何だろう]指示される人-傍聴する人 指示する人と協力している(できる)かそうでないか。 指示される人⇔指示する人 指示する人は指示される人の様子を聞くことができる。 指示される人はわからないと言える。 傍聴する人-指示する人 指示する人は傍聴する人の様子を知らない。 傍聴する人のわからないところは指示する人に伝わらない。
  • [共通基盤]私たちは、お互いがどのような情報を共有しているのかを考えながらコミュニケーションをとります。お互いが共有していると推定している情報のことを「共通基盤」といいます。
  • [共通基盤の構築]指示する人と指示される人の1つのカードを当てる会話量は、回数を重ねるごとに減ります。
  • [共通基盤の構築]これは回数を重ねるごとに、どう言えば伝わるのかをお互いがわかるようになり、特徴的な単語のみで伝えることができるようになったからです。これが「共通基盤の構築」です。
  • [共通基盤の有無が原因]指示する人と、指示される人はお互いに「共通基盤」を確認しながら話をしていた。指示する人と傍聴する人との間には「共通基盤」が構築されなかったから理解がしにくかった。
  • [まとめ]会話はお互いのことを考えて、協力して成立するものです。だから、共通基盤の確認をしていない第三者が他人の会話を立ち聞いても理解しにくいのです。
  • [参考文献]Schober, F. M., & Clark, H. H. (1989). Understanding by addressees and overhearers. Cognitive Psychology, 21, 211-232.
  • [お薦め図書]比留間太白・山本博樹(編著)(2007).説明の心理学 ナカニシヤ出版
  • [製作者]山元惠美子(関西大学心理学研究科)