心理学ミュージアム

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【京都大学大学院文学研究科心理学研究室】

2014年8月27日~29日まで、京都大学名誉教授苧阪直行先生立ち会いのもと、現地調査を行い、京都帝国大学当時の遺産を中心に55点の機器類を登録しました。赤色のペンキで書かれた漢数字は、1906年の研究室開設時に初代教授松本亦太郎が持ち込んだ機器類に付けられた備品番号の名残です。のちに、明治39年から明治43年までの備品簿の控えが発掘され、その写しが取られました。「京都帝国大学文科大学物品監守簿(写)心理学教室之部」です。また、「京都大学文学部心理学古典機器博物館(1999年にインターネット上のwebに設立)」には34点の代表的古典機器が展示され、2015年現在も運用中です(http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/psy/museum/)。それらは、本「歴史館」に収録している機器類と重複するものですが、京都帝国大学文科大学心理学講座創設時(1906年)に初代教授松本亦太郎によりもたらされた機器のコレクションで、1920年代にドイツZimmermann社で製造された心理学実験用機器類です。それらの機器は、その後、1950年代まで文学部心理学教室でさまざまな実験に用いられました。また、古くから読書会に伝わる教室の記録帳兼落書き帳である「大福帳」の存在はよく知られています。プライベートな内容が多いので公表はされていませんが、その表紙の写真を掲載させて頂きました。さらに、戦後復興の一環としてC.H.Graham教授を招聘して1952年8月に行われた「京都実験心理学セミナー」に全国から参加された当時若手の研究者の先生方の寄せ書きも残っています。京都帝国大学創設時(1906)の初代心理学教授松本亦太郎の肖像画(1928制作、縦79、横64cmの油彩肖像画で松本63歳の時のもの)も掲載させていただきました。1年前にやはり路可が描いた書記実験中の松本の立像(東大所蔵)に対し、京大所蔵のものは、対面調査で記録を取っていると思われる静かな半身坐像です。背景の山水画や女性ブロンズ像は芸術愛好家としての松本を暗示しています。額縁上部金属プレート板に「文学博士 松本亦太郎君」、肖像画左下に「Loka Hasegawa 1928」(長谷川路可:本邦におけるフレスコ画の先駆者)との署名があります。(苧阪直行編著(2000)「実験心理学の誕生と展開」京都大学学術出版会、p.305-308より引用させていただきました)

■「京都帝国大学文科大学物品監守簿(写)心理学教室之部」


■「大福帳」の表紙


■「京都実験心理学セミナー」参加者の寄せ書き


■初代心理学教授松本亦太郎の肖像画(1928)