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  • マインド・コントロール立正大学心理学部西田公昭心理学ミュージアム破壊的なカルトとは!強固な信念を共有して熱狂的に実践し、表面的には合法的で社会正義をふりかざすが、実質には自らの利益追求のために手段を選ばない集団(西田,1995)。– 宗教、政治、教育、企業など様々な分野に存在し、人権侵害をする。– 強力なカリスマ的リーダーを拝する場合が多い。– 組織管理のために、心理操作(マインド・コントロール)を行ってメンバーを騙すことが多いマインド・コントロール基本方略• 洗脳と呼ばれることもありますが、そこで強調されたような薬物や拷問による強制は、必須でなく、社会心理学的なコミュニケーションや集団の影響で実現します。• 一般に人間の意志決定は、トップダウン情報処理とボトムアップ情報処理を行っています。この2つの情報処理過程を誘導統制できれば、マインド・コントロールは可能となります。– ボトムアップ情報のコントロール法• 帰属過程を考慮した選択的情報接触• 信憑性や恐怖アピールなどの説得的コミュニケーションの技術(周辺ルート)– トップダウン情報のコントロール法• 意思決定のための“装置”ともいうべきビリーフ・システムの変容を実現させる。• 現実感覚、価値観が不適応な状態を体験させる説得的コミュニケーションの技術(中心ルート)1[情報の隠ぺいと欺瞞・断りにくい状況の操作]2[欲求の扇動と恐怖喚起]3[思想の卓越性]4[リアリティの操作]5[情報・行動・思考・感情のコントロール]6[マインド・コントロールの完成]1 温かな人間関係を築き、対話の基盤を作る[情報の隠ぺいと欺瞞・断りにくい状況の操作]2 解決困難な問題を突きつけて混乱させる[欲求の扇動と恐怖喚起]3 一見鮮やかな解決策を見せて魅了する[思想の超越性]4 教義を体系的に確信させる[リアリティの操作]5 教義を日常的に実践させて納得させる[情報・行動・思考・感情のコントロール]6 経済的・社会的資源を放棄させて元の生活に戻れなくさせる[マインド・コントロールの完成]ビリーフシステムを変容させる一般的手順を示します。カルト支配を受けた行動スタイル:マインド・コントロールが完成して、メンバーは、自ら本来の自己を心理的に封印し、集団に都合の良い行動選択のみ考えるようになってしまう。私Lalich, J. 2004 Bounded Choice義務/罪愛/恐怖 目的/誓い同一化/内面化カリスマ的権威超越した信念のシステム支配システム 影響システムやさしくも厳しくもあるリーダー無比の最高の教えに従う自分の役目を果たす責任がある。先輩やトップのようになりたいメンバーの従順さを維持強化するために、集団内では、メンバーに対して、さらにマインド・コントロールが続く6情報コントロール思考コントロール行動コントロール感情コントロール・プライミングとヒューリスティック・自己確証バイアス・行動確認過程(予言の自己成就)・社会的アイデンティティ・無力感と依存心・課題の切迫感・集団離脱の恐怖感・自己知覚・賞と罰(条件づけ)・認知的不協和・身体疲労(睡眠、栄養不足、過剰労働)Copyright © Kimiaki Nishida, Ph. D. , Rissho University All rights reserved・隠ぺい・虚偽・一面アピール情報コントロール•隠ぺい:当該集団にとって都合の悪い情報は、メンバーには隠してしまう。•虚偽:欺瞞を用いて当該集団に都合の良い話に変換してします。•一面アピール:当該集団に都合の良い事実は、極端に強調する。思考コントロール•プライミングとヒューリスティック:思想を常に思い起こさせるように、あちこちに手がかり情報を示す。•自己確証バイアス:思想の示唆することが確認または証明できるような意思決定を高く評価したり、そうでない思考を否定する。•行動確認過程(予言の自己成就):思想が期待することを証明する行動を推奨するので、それに対応した対人相互作用が生じて、期待したことが実現してしまう。感情コントロール•社会的アイデンティティ:内集団メンバーに、優越感、誇り、ナルシシズムと外集団に対して、冷笑的態度をつくる・無力感と依存心:最大限の努力があっても個人の能力では目標は実現できず、トップリーダーに依存が必要とされる。・課題の切迫感:課題の遂行や完成には、時間的に不足した状態が作られる。・集団離脱の恐怖感:仮に当該集団から離脱したり、反発したら、悲惨な事態を招くと脅迫されている。行動コントロール•自己知覚:メンバーとして相応しい行動をとるように習慣化することで、アイデンティティ形成が促進される。•賞と罰(条件づけ):すべての日常行動が、市当該集団によって罰せられるか報いられるかの評価対象になっている。•認知的不協和:自己犠牲を払うことが推奨され、集団へのコミットメントが高められる。•身体疲労:睡眠不足、栄養不足、過剰労働などが常に求められ、自己で意思判断する体力が奪われ、命令に盲従する行動習慣が作られる。サリン事件のような凶行に従事させるときには、次のような、さらに徹底したマインド・コントロールが行われる1. 所属集団の単一化(depluralization)– 他集団におけるすべてのアイデンティティーを奪い取る2. 自己-没個性化(self‐deindividuation)– 各自の個人的アイデンティティーを奪い取る3. 他者-没個性化(other-deindividuation)– 敵の個人的アイデンティティーを奪い取る4. 非人格化(dehumanizatoin)– 敵を下劣な人間あるいは家畜以下と見なさせる5. 悪魔化(demonzation)– 敵を「悪魔」として滅ぼす対象と見なさせる11Stahelsky, A.. 2005最終的に、殺人も自分の死も、正義と価値づけられ、従事することが可能となる。12俺の居場所はここしかない!俺と仲間とは一心同体!奴らはみな同じ、区別する必要はない! 奴らは人間のクズ、下等なのだ!やつらは、敵だし、悪魔だ、滅ぼさないとこっちが危ない!ひとたび破壊的カルトのメンバーになってしまうと、脱会は困難であるが、欺瞞に気づいたり、逃亡したり、外部からの説得によって脱会することがある。しかし・・・• 破壊的カルトから脱会した人はさまざまな心理的問題を抱えることになる。• 脱会者の心理的問題には経済面、心理・社会面において長期的な支援が必要となることがある。脱会「心の支え」とする信念を失う事態西田・黒田,2003,2004マインド・コントロールは偏在する•オウム真理教のみならず、世界中に暗躍する危険な集団。一般に「破壊的カルト」という。•彼らは、巧妙なマインド・コントロール(心理操作)を仕掛けることで、その組織の本質を隠し、欺き、メンバーや社会に有害な行為を行っている。•マインド・コントロールは本質的に社会的影響の操作なので偏在する。その倫理をめぐって、使用限度を検討するべき問題がある。製作者:西田公昭(立正大学)文献• Lalich, J. 2004 Bounded choice: The believers andcharismatic cults. University of California Press.• 西田公昭 1995 マインド・コントロールとは何か 紀伊國屋書店• 西田公昭 1998 『「信じるこころ」の科学:マインド・コントロールとビリーフ・システムの社会心理学』 サイエンス社.• 西田公昭・黒田文月、2003 破壊的カルト脱会後の心理的問題についての検討-脱会後の経過期間およびカウンセリング効果-、社会心理学研究,第18巻3号• 西田公昭・黒田文月、2004、破壊的カルトでの生活が脱会後のメンバーの心理的問題に及ぼす影響、心理学研究,75(1), 9-15• Stahelsky, A. 2005 Terrorists are made not born: Creatingterrorists using social psychological conditioning. Culticstudy review, 4(1), 30-40.
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資料名:20120421_mind_control.pdf(1MB)

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